世界分散の株式ファンド比較 EXE-iシリーズ

こんにちは。いなぐらパパです。
「世界分散の株式ファンド比較 VT = VTI + VEA + VWO」では、バンガードのETFを使った世界分散の株式ポートフォリオを考察しました。ですが、ETFにも欠点があります。
- 外国株口座を開く必要がある(簡単ではありますが・・)。
- 米国株の取引と同様に、購入・売却手数料がかかる。
(マネックス証券のNISA口座なら、購入手数料は実質全額キャッシュバック。) - 自動積み立てができないので、自分でタイミングを図って購入する必要がある。
(毎月1日に購入する、などと自分で決めてもいいが、その日の相場がむちゃ高だったら、ついつい躊躇してしまうもの。結局買いそびれたり。) - 米ドルに振り替える手間と、為替手数料がかかる。
こうした手間やコストに対して、それでもETFがメリットかどうかは、自分の投資額や投資期間から、あらかじめ計算しておくべきでしょう。
世界分散ETFの苦悩
そもそも、世界分散でポートフォリオを組みたい、という発想の根底には、ベストパフォーマンスを追究する手間を省きたい、という考えがあると思います。世界で今、どの地域がいちばん経済発展しつつあるか、自分で判断したくないからこそ、おまかせの世界分散なんです。
それなのに、VTをあえて3つのETFで組み直そうと考えた時点で、ちょっとチャートを書いてみれば、誰でもすぐ気づいてしまうワケです。VEA(米国除く先進国)は横這い、VWO(新興国)はむしろ下降気味なのに対し、VTI(米国)だけがリーマンショック以前の水準を超えて、成長し続けていることに。
すると今度は、VTIの比重を大きくしてみようとか、VWOはやめようか、などと、当初の世界分散ポリシーから離れていってしまうワケです。ええ、お気持ち分かります。パパもVTI, VEA, VWOを保有してますんで!
ですが、例えば「よし、VTIに集中しよう」と決めた途端に、その投資家は1つの「選択」をしたことになります。もし将来、VTIが世界平均をアンダーパフォームしてがっかりしても、それはその選択をした投資家の責任です。VTIがVEAやVWOを今後長期にわたってアウトパフォームするだろう、という予測に対して、自分できちんと理解し、納得していなかったら、その選択をするべきではありません。
つまり、選択するというリスク、あるいは、選択したくなる衝動。これを避けたければ、VT一本にしておいたほうがいいんです。本当はVTであっても、「世界分散する」という「選択」をしているのですが、最小限の選択とも言えます。忙しいサラリーマンにとって、それは1つの良い選択肢です。
結局、VTをVTI + VEA + VWOに分解してパフォーマンスを向上させるという試みは、よほど意志が強くないと、積み立てていくのが心理的に困難になります。積み立てよりむしろ、まとめてドカンと購入し、あとは気にしないという使い方のほうが、向いてるように思います。
EXE-iシリーズを用いた世界分散積み立て投資
前置きが長くなりました。強制的に長期積み立てができるためには、やはり自動積み立てシステムは強力です。先日記事にした、セゾン資産形成の達人ファンド(以下、セゾン達人F)を利用するのも手でしょう。
ただ、セゾン投信は、セゾン達人Fを含め2本のファンドしか扱っていません。もしNISA口座内で他のファンドと併せて持ちたいという場合には、選択肢から外れます。また、来年から専業主婦や公務員も加入できる、確定拠出年金(DC)の対象でもありません。
そこで、代替案としては、SBIアセットマネジメントの「EXE-iシリーズ」が良い選択肢になります。EXE-iシリーズは、SBI証券の確定拠出年金口座でも取扱があります。ラインナップは次のとおりです。
ファンド名 | 純資産 (2016.6.7) | 地域 | 参照インデックス |
EXE-i 先進国株式ファンド | 4,424百万円 | 日本を除く先進国の大型株 | FTSE Kaigai Index |
EXE-i 新興国株式ファンド | 2,959百万円 | 新興国の大・中・小型株 | FTSE Emerging Index |
EXE-i グローバル中小型株式ファンド | 2,767百万円 | 世界(日本含む)の中・小型株 | FTSE Global Small Cap Index |
EXE-i 先進国債券ファンド | 1,313百万円 | 先進国(日本含む)の債券 | シティ世界BIG債券Index |
EXE-i グローバルREITファンド | 2,318百万円 | 世界(日本含む)のREIT | S&P Global REIT Index |
なぜか日本の大型株がdisられてます。日本の大企業に期待しない、っていう宣言なんでしょうかね、SBIさん・・。ま、日経225インデックスに連動するファンドは他社さんのが複数ありますので、困りはしません。
次のような比率で組み合わせれば、おおむね世界株式に時価総額比で分散できます。EXE-iの各株式ファンドは、FTSE指数に連動しているので、同じくFTSEを採用しているバンガード社のETFと、同様の成果が期待できます。日本大型株はEXE-iシリーズ外から適当に追加しました。
ファンド名 | 地域 | 組入比率 |
ニッセイ日経225インデックスファンド | 日本大型株 | 8% |
EXE-i 先進国株式ファンド | 日本を除く先進国の大型株 | 69% |
EXE-i 新興国株式ファンド | 新興国の大・中・小型株 | 11% |
EXE-i グローバル中小型株式ファンド | 世界(日本含む)の中・小型株 | 12% |
世界分散株式ポートフォリオ比較
ここで、これまでに紹介した、時価総額比での世界分散株式ポートフォリオを、比較してみましょう。例によって、手数料は現在の値をそのまま過去にも適用し、月割で引いてます。手数料にかかる消費税は10%換算で計算しています。ETFはNISA口座運用を前提に、米国での源泉徴収税率10%のみを配当から引きました。配当は月末に再投資するものとします。
また、リバランスは一切しない前提です。そのため、ファンド内でリバランスが行われるセゾン達人FやVTと比べると、他の組み合わせポートフォリオを有利に計算してしまっている可能性があります。計算した期間では米国株が他をアウトパフォームしているからです。ちゃんとリバランスして計算すると、米国株の高リターンを他のアセットに移すことになるので、複利の効果が低下し、もっとVTに近い結果になるのかもしれません。
ともかく、こうして得られた結果がこちらです。
起点を2013年5月31日としています。そのため、起点より左側では、下にあるほど良いリターンであることを示します。起点より右側では、上にあるほど良いリターンです。初期の頃にセゾン達人Fが他を大きくアウトパフォームしているのを除くと、どれもだいたい似たような成果です。
もう少し詳しく見るため、各ファンドのリターンから、セゾン達人Fのリターンを引いて、その差をグラフにしたのがこちらです。ご参考まで。
投資はご自身の判断にてお願いいたします。
2016/06/09