株式や投信と比べて不動産投資ってどうよ


我が家での投資は米国株と投資信託が中心ですが、世の中には様々な投資スタイルがあります。中でも不動産投資は、株式投資や投資信託とくらべてどうなのでしょうか。

まずはデメリットから

パパが現時点で不動産投資に手を出していないのは、いくつか理由があります。まずは、不動産投資を株式投資と比べた場合のデメリットから見てみましょう。

利回りが低い

投資用のアパートや区分マンション販売の広告を見ていると、表面利回りが5〜8%くらいの物件がたくさん出ています。表面利回りとは、(年間家賃÷購入価格)です。

ここで、年間家賃は通常、満室時の見込み額が書かれています。もし満室でなければ、収入は減ります。借主の入れ替わり時には、必ず空室時期が発生するのですから、満室率100%で計算するのは正しい見込み収入ではありません。もちろん、空室時に備えて礼金を多くするというのも可能ですが。いずれにせよ、その物件はどれくらいの満室率で稼働できるかの見積もりが重要です。広告の年間家賃見込みを鵜呑みにしてはなりません。

さらに、支出は購入価格だけではありません。購入時の諸費用、不動産取得税。借主の入れ替わり時に発生するのは、仲介手数料、広告料、内装リフォーム。毎年の固定資産税、都市計画税。管理を不動産屋さんに委託するなら、その管理手数料。区分マンションであれば、管理費と修繕積立金。戸建てや、アパート・マンションの一棟買いであれば、築年数とともに必要になる外壁塗装や屋根の補修工事。水漏れ、トイレの故障、コンロの故障、エアコン修理など、トラブル対応費用。

これらの費用もきっちり計算に入れたら、表面利回り5〜8%では、むしろ赤字になってしまうのが普通です。広告を見て「利回り8%ウマー」なんて言って区分マンションを、それもフルローンやオーバーローンで買おうものなら、あっという間に家計は火の車になってしまうのです。

複利効果が薄い

株式や投資信託は、利回りのうちキャピタル・ゲイン(株価や基準価額の上昇)については、自動で複利効果が効いてきます。インカム・ゲイン(配当や分配金)については、複利効果を得るには自分で再投資する必要があります。いずれにせよ、複利効果を効かせて、雪だるま式に資産を増やすことが出来るのです。

ところが、不動産の場合は、得られた収益を同じ物件に再投資することができません。だから、複利という投資の最大のご利益を、逃してしまうのです。複利効果を得ようと思えば、新たに物件を購入しなくてはなりませんが、物件価格に相当するだけの利益が積み上がらないと、新規購入ができません。

仮に実質利回り10%の物件を持っているとします。これはアパートや区分マンションなら、かなり優秀な部類です。購入価格と同程度の収益が積み上がるのは、10年後です(1 ÷ 10% = 10年)。ここでようやく、同等の物件を買い増しすることができ、複利コースに乗ることができます。あとは、10年ごとに資産が倍になっていきます。この10年で倍というのを、毎年複利を効かせられる株式や投信でなら、年率リターン7.2%で良いのです( 1.07210 = 2倍)。手間暇を考えると、株式・投信のほうが、圧倒的に有利なのです。

うまくやればメリットもある

不動産投資は利回りを稼げない・・そう書きましたが、物件を適切に選べば、そうでもありません。なっちーさんのご著書「パート主婦、“戸建て大家さん"はじめました!」で紹介されているように、中古の一戸建てを300万円くらいの安価で購入して賃貸に出すと、20%以上の表面利回りも十分に可能です。加藤ひろゆきさんやサーファー薬剤師さんのように、30%を大きく超える利回りで運用している方々もおられるようです。

こうして、利回りの問題をうまく克服できたとして、不動産投資には他にどんなメリットがあるでしょうか?

社会への貢献

良い物件を安く入手して本当に借りたい人に良いクォリティで貸せば、人を幸せにすることが出来ます。例えば、将来は戸建を買いたいけど今は無理なので、戸建賃貸に入居したいような若い子育て世代には、喜んでいただけるでしょう。子育てを支援することにもなり、社会への貢献も大きいです。

リスク分散

現金はインフレに弱く、株式や投信は値下がりのリスクがあり、海外資産は為替変動にさらされます。そのため、金融資産のほかに不動産を持つことは、リスク分散に役立ちます。

レバレッジを効かせられる

株式投資のためにローンを組むことはできません。信用取引であれば実質的にお金を借りて取引することになりますが、レバレッジはせいぜい3倍までです。FXの場合は個人なら25倍まで可能ですが、大きなリスクを伴います。少なくとも長期投資の対象となるものではありません。

一方、不動産事業のためのローンは、銀行や住宅金融支援機構が喜んで貸してくれます。元手がなかったり、利回りをどんどん拡大したい場合には、ローンを使える不動産投資のほうが、実は有利なのです。株式投資よりも低い利回りであっても、ローンを活用できる場合には、不動産投資のほうが有利になり得ます。

安定性

家は必ず誰しもが必要であり、しかも子育て家庭向けの戸建賃貸は、特に供給不足ぎみであると言われます。そのため、立地を正しく選べば、常にそれなりの需要は見込めます。また、金融資産と違って、ある日とつぜん暴落という憂き目にあうこともありません。地震や火災などの災害によって一瞬で失われる可能性はありますが、これは保険で対処できます。

まとめ

不動産投資で高い利回りを得るには、しっかりと勉強した上で、適切な物件を購入することが何より重要です。その点は株式投資であっても同じこと。ただし、不動産投資の場合には、築古物件をうまく活用することで、株式投資では得られないような高いリターンを得ることもできます。レバレッジをかけることで、高速雪だるま式に資産を増やすことも可能です。また、株式や投信とは違って、人から感謝されるような事業を営んだり、社会に貢献することもできます。なかなか敷居の高い分野ではありますが、検討に値する投資分野であると言えましょう。

      2016/06/23

 - お金の話