【ソフトバンク】ARM買収のどこがどう凄いのか


こんにちは。いなぐらパパです。

ソフトバンクが英国ARM社の買収を発表した7月18日から5日が経ちました。ARMが初耳で、検索してみた人も多いのではないでしょうか。半導体関係者には良く知られていても、一般の人々にはあまり馴染みのない会社かもしれません。しかし、ARMはおそらくほとんどの家庭にその製品が置かれているほど、世界独占的な企業なのです。

半導体といえば、インテル、台湾セミコンダクタ(TSMC)、サムスン電子、などが思い浮かぶでしょうか。これらの企業は大規模な半導体製造ラインを持ち、自社設計の、あるいはユーザーから設計図を預かって、設計図どおりの半導体チップを製造します。

一方、ARMはコンピュータの心臓部であるCPU(中央演算処理回路)の「設計図だけ」を提供するのです。コンピュータといっても、パソコンやサーバーではありません。携帯電話などの電子機器向けの、いわゆる組み込みデバイスと呼ばれるものです。

今や、私たちがイメージする据え置き型やノート型の「コンピュータ」は、CPUの主な利用先ではありません。パパが以前調べた古い数値でも、パソコンのCPUとして使われているプロセッサは、全プロセッサのわずか0.2%しかありません。今はもっと減っているでしょう。

今や多くの電子機器にCPUが組み込まれています。組み込みデバイスは、それぞれに入出力信号など仕様が異なります。そのため、通常であればメーカーは自分の製品に合う集積回路(LSI)を自分で設計しなくてはなりません。それには膨大なコストがかかり、現実的ではありません。

ところが、ARMからCPUのデザインをライセンス供与してもらい、自分たちに必要な周辺回路部分だけを、自分仕様で作りこめば、大幅にコストを減らせます。こうして出来た設計図を、製造ラインを持つTSMCなどに渡して、集積回路チップを製造してもらうのです。

半導体の製造ラインはものすごくコストがかかります。より微細なプロセスを日進月歩で開発し続けるため、研究開発費もバカになりません。ところが、ARMは自分で製造ラインを持ちません。だから設備投資が必要ありません。

また、組み込み機器ごとにゼロから設計する必要はなく、コアとなるCPUデザインだけを改版していけばいいので、1つの設計バージョンが、世界中で広く使われることになります。近年は、集積回路を自分で製造しなくても良い、FPGAという出来合いのチップに、ARMコアを載せることも出来るため、組み込み機器開発が劇的なスピードで進みました。

ARMはこうしたビジネスモデルのお陰で、ものすごく儲かる会社なのです。

そして、ARMは組み込み分野で独占的な地位を占めているのです。

そのような会社をソフトバンクが買い取ったということは、日本に世界独占的な大企業が誕生したことを意味します。しかも、ARMはIoT (Internet of Things)時代の到来を迎えて、今後更に伸びていくことが期待されます。これまではアメリカにしかなかったような世界独占企業が、日本で成長する雛形となるかもしれません。もしそうなれば、10年後、20年後の日本の市場は、とても面白い世界になるでしょうね。

      2016/07/29

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