金持ち父さんの正体は誰? ロバート・キヨサキはなぜ嘘を


こんにちは。いなぐらパパです。

先日から何冊か、ロバート・キヨサキ氏の「金持ち父さん」シリーズを紹介させていただきました。

いなぐらパパは、このシリーズ本を5冊ほどこれまでに読みました。お金の概念を覆す素晴らしい本で、特に「金持ち父さん貧乏父さん改訂版」は、誰もが一度は読んでおくべき本かと思います。

しかし、何冊か読んでいると次のような疑問が、自然と湧いてきます。

  • キヨサキ氏がファイナンシャル教育を受けた「金持ち父さん」とは一体誰なのか。
  • 金持ち父さん自身は、どこでファイナンシャル教育を受けたのか。
  • 金持ち父さんのビジネスを引き継いだ実子のマイクとは、今も交友があるのか。
  • ビジネスオーナーになれ、とひたすら言われ続けて、正直辛い。
  • 金持ち父さんを読んで起業したという実業家の例がほとんど無いのはなぜか。
  • むしろ金持ち父さんをきっかけとする、不動産投資での成功例のほうがネット上に多い。

そこで、皆さんに氏の本をお勧めする際に、こうした疑問をクリアにしておく必要があります。

金持ち父さんとは、実在しない架空の人物である

まず、最も重要なのは、キヨサキ氏が子供の頃から生涯に渡って、ファイナンシャル教育を受けたという「金持ち父さん」は、架空の人物であるということです。ええ、実在しません。従って、友人のマイク(金持ち父さんの実子)も実在しないでしょう。

氏の著述どおりであれば、金持ち父さんは、かつてハワイ中を驚かせた有名人のはずです。探せば、特定できないはずがありません。ところが、金持ち父さんを特定しようという試みは、全て失敗しています。

また、人生における最大の恩人とも言える「金持ち父さん」に対して、あるいは実子のマイクに対しても、著書でいっさい謝辞を書いていません。一緒にビジネスを立ち上げた奥さんへの謝辞は書いているのに、です。金持ち父さんが「謝辞を書くな」と言った可能性もありますが、それなら、そもそも「自分のことを一切本に書くな」と言うほうが自然でしょう。

キヨサキ氏は、著書が「創作」であることを、インタビューでこそっと認めています。そもそも、いずれバレるに決まっている嘘を書きまくってる時点で、「公然の嘘」と位置づけていたのかもしれません。小説のようなフィクションでは、「この本に書かれていることは、実在の話ではありません」などと、わざわざ断らないのですから、非難することはできませんね。

では、なぜあえて架空の人物を持ち込んだのでしょう。いなぐらパパが考えるに、3つの理由があります。

難しいファイナンシャルの話を分かりやすくするため

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金持ち父さんシリーズの本は、いずれも結構厚みがあります。それでも、キヨサキ氏が金持ち父さんから、このように実体験を以って教えを受けた、というストーリー性により、さくさく読むことができます。また、ぐいぐいと読者をのめり込ませるような、ドラマ性もあります。こうすることで、難しいファイナンシャルの話を、子供にも分かるくらい、シンプルに伝えようとしたのでしょう。

一子相伝の秘伝と思わせるため

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キヨサキ氏は、ファイナンシャル教育を、金持ち父さんただ一人から受けたという設定にしています。もちろん、投資のセミナーに参加したり、他の著作から引用したりもしています。ですが、肝心のエッセンスの部分は、金持ち父さんが唯一の恩師です。

すると、彼の著作に書かれたノウハウは、一子相伝の秘伝のように読者は思うでしょう。正しくは、友人のマイクも伝授されているので、一子ではありませんが。例えるなら、お茶の世界における表千家と裏千家、あるいは、北斗神拳の世界におけるケンシロウとラオウのようなものかもしれません(ナンノコッチャ)。

こうすることで、世界随一のファイナンシャル教育は、キヨサキ氏からしか得られない、という錯覚が読者にもたらされます。そして、世界中に「キヨサキスト」が誕生します。熱狂した読者は、キヨサキ本をすべて読み、キャッシュフロー・ゲームに興じ、英語圏であれば、「金持ち父さんのアドバイザー」たちに答えを求めて、私財を投じることになるのです。「キヨサキスト・レース」の始まりです!

※キヨサキスト・・・いなぐらパパによる造語。熱狂的なキヨサキ・ファン。あるいは信者。

※キヨサキスト・レース・・・いなぐらパパによる造語。給与所得者たちの「ラットレース」から、不労所得で金持ちになる「ファーストトラック」へ脱出しようとして、いつのまにか「キヨサキ氏の教えを求めて支出し続ける」レースにはまること。あるいは、キヨサキ氏の教えを信じて、ビジネスオーナーになろうとして会社を辞め、永遠になれずに財産を失って苦しむこと。

子供にまで販路を広げるため

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氏は金持ち父さんから、9歳の子供の頃よりファイナンシャル教育を受け始めたとしています。このストーリー設定は、何のためなのでしょう?

ここでも、氏のセールス戦略が働いているのだと、いなぐらパパは考えます。

多くの親たちは、愛する我が子のために、塾へ、お稽古へ、良い大学へと、家計の許す可能なかぎりの費用を払うでしょう。教育費は家計にとって、最大級の出費です。ところが、氏は学校教育を否定し、ファイナンシャル教育こそが大事なのだと宣伝します。盲信した親たちはどうするでしょうか。当然、教育費(の一部)を、氏の著書(子供向けもある)やキャッシュフロー・ゲーム(子供向けもある)に向けるでしょう。素晴らしい!

ビジネス・オーナーになる必要はない

お金持ちになる最高の道は、ビジネス・オーナーになることであると、氏は説きます。一方、最も多くのファイナンシャル教育が必要なのも、ビジネス・オーナーであるということです。

少し古いですが、「起業バカ」という本によれば、起業家で成功するのは1,500人に1人ということです。その上、自らが四六時中はたらかなくても良い、不労所得者となっているのは、ごく微々たるものでしょう。それだけ、狭くて苦難なる道のりなのです。実際、キヨサキ氏自身も、億万長者になってから、一度は無一文になり、その失敗から学ぶことで、再び億万長者として成功したとのこと。起業とは茨の道であり、誰にでも勧められるものではありません。

こうした事実を踏まえてでしょうか?「金持ち父さんの投資ガイド(入門編)改訂版」p.160で、金持ち父さんは次のような趣旨を語っています: 彼は息子には、自分の好きな道に進んでほしいと。それはビジネス・オーナーでなくても良く、警察官や政治家や詩人でもいい。でも、どの道に進むにしても、「まず投資家になってほしい」。

もちろん、架空の発言なので、これはキヨサキ氏の意見と考えるべきです。

投資の知識としては有益

ここまでをまとめると、キヨサキ氏の本を読むにあたって、気をつけるべきことは次の2点です。

  • ハリー・ポッターのような小説だと考え、盲信しない。つまり、キヨサキストにならないこと。
  • ビジネス・オーナーを目指さないこと。もし起業したいなら、他に読むべき本がある。

このことに気をつけて読めば、「投資によって豊かな暮らしを得るための、有益なモチベーション」を得ることができます。ただし、具体的なノウハウを得ることは、できません。

「持ち家は資産ではなく負債である」「負債には良い負債と悪い負債がある」「キャッシュフローを増やすことが大事」「個人にも不動産にも家計にも、あらゆるところに財務諸表がある」など、キヨサキ氏の主張には、お金の問題を考える上で、やはり意義があります。

彼の、読者に対する「セールス戦略」の部分は割り引いて、キヨサキスト・レースに巻き込まれることなく、自分にとって有益な情報のみを抽出する技術が、読者には求められます。ファイナンシャル・リテラシーの前に、情報リテラシーが必要なのです。キヨサキ氏の言うとおり、現代は情報社会なのですから!

      2016/10/20

 - 雑談