もし高校生が投資に目覚めて定年まで続けたら(前編)


こんにちは、いなぐらパパです。

記事「20代から始めておけば良かった」では、もし20歳から月1万円の積立投資を始めて65歳まで続けると、年利7%のリターンで計算して3,558万円になる、という話をしました。

今日はこのシナリオに少し修正を加えてみます。

高校生から始める

ある中学生がこのブログを見て投資に目覚め、「高校生になったら毎月ちょっとずつ積立投資するぞ」と志したとします。高校生が毎月1万円を積み立てるのは、ちょっと難しいかもしれません。「お小遣いは投資に全力投入する」などと宣言しようものなら、親から猛反対されることでしょう。

そこで、投資の資金は自分で稼ぐことにしました。とはいえ、高校生の本分は勉強です。バイトにあまり時間を割くわけにはいきません。幸い現代はインターネット社会です。ネットで稼ぐ方法はいくらでもあります。頑張れば本業にすることも可能なぐらいです。でもやはり高校生は勉強が本業なので、月1万円だけネットで稼ぐことにしました。これくらいなら、そんなに負担なくできるでしょう。

米国株に投資する

さて、月1万円をどこに投資するかが問題です。図書館で投資の本を探してみると、最近はインデックス投資を勧める本が多く出ていることに気づきました。

ところが、実際にインデックス投信やETFについて調べてみると、どうでしょう。日本の代表的インデックスである日経225インデックスは、もう20年もの間、7,000円から20,000円の間のボックス圏で推移しており、長期投資しても増える見込みがありません。ヨーロッパはもう少し良いですが、傾向としては似たようなものです。

一方、アメリカの代表的インデックスであるS&P500に目を向けてみると、すでにリーマンショック前の水準を大きく上回り、過去最高値を更新し続けていることに気づきました。やはり、先進国で唯一、今後とも人口が増え続けていき、世界の株式時価総額の半分を占めるような国は違います。そこで、米国株に集中投資することに決めました。

ここでさらに突っ込んで考えてみます。たとえ米国株であっても、インデックス連動である限り、良い企業も最悪の企業も、全部ミックスされているのです。それは果たして得策なのでしょうか?この中学生はもう少し米国株について勉強しました。

すると、コカ・コーラやジョンソン&ジョンソン、エクソン・モービルやマクドナルドといった、日本でも身近な超グローバル企業を適切に選び、最小限の分散をすれば、比較的小さなボラティリティー(上下変動)でありながら、大きなリターンを得られることに気づきました。

リターンをあらかじめ制御することはできませんが、年率平均10%くらい行けそうな気がします。企業選びに自信が持てなければ、定番の鉄板バリュー株を4〜5銘柄ほど選んで、残りはバークシャー(BRK-B)に任せておけば良いでしょう。バークシャーの過去10年の平均年率リターンはちょうど10%程度ですから。バフェット引退後は今ほどのリターンが期待できないとも言われていますが、それでも一桁代の後半は堅いことでしょう。

投資スタート、まずは高校3年間

先ほどの中学生が高校に入学し、さっそく月1万円ずつの積立投資を始めました。米国株には1株数千円のものが多く、しかも1株ずつ購入できるので、ポートフォリオの中のどれかの銘柄を、毎月1〜2株ずつ購入することができます。1〜2株だと手数料が割に合いませんが、マネックス証券のNISA口座なら、最小手数料が$5.40と安い上、購入の手数料は全額がキャッシュバックされます。

正確には、キャッシュバックのタイミングでの為替変動や、「円→ドル」と「ドル→円」の差であるスプレッド分がありますので、「実質全額」は若干言い過ぎじゃないかと思いますが、それでもスプレッドの寄与は、手数料に関しては微々たるものです。

*)おっと、ここで1つマズいことが。マネックス証券のジュニアNISAは現時点で米国株を扱ってないので、このストーリーが成り立ちませんね。ま、きっと将来は米国株もジュニアNISAで扱うだろうと考えて、話を先に進めます。(←ずるいぞ、いなぐらパパ!)

さて、高校1年の終わりまでに12万円を積み立てましたが、株価上昇と配当再投資の合計リターンにより、資産は12万6,405円になりました。6,405円増えたことになります。「1年かけて、たったの6千円かぁ。これじゃバイトのほうがマシだよ。」高校生はつぶやきました。

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ですが、最近習った等比数列の和の公式を思い出し、高校を卒業するときにいくらになるのか計算してみました。すると、高校3年間で積み立てる36万円に対し、資産は418,402円になっている見込みで、5万8千円ほどのリターンになることが分かりました。そんなに魅力的というほどでもありませんが、高校生にとって数万円の収入は、嬉しいお小遣いです。この高校生は、もう少し積立投資を続けてみることにしました。

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後編につづきます。

      2016/06/17

 - お金の話