米国株の銘柄選び、パパの場合(後篇)

中編の続きです。
候補として挙げた銘柄の中から、いよいよ投資対象の銘柄を選びます。
ポートフォリオに組み入れる銘柄数
銘柄数としては、8〜16銘柄程度が好ましいです。分散効果を高めるには8銘柄くらいは必要ですが、16銘柄を超えると効果がコスト(手数料や手間)に見合わなくなってくるからです。
単純にもし各銘柄のボラティリティ(リターンのばらつき)が完全にランダムである場合には、ポートフォリオ全体のボラティリティは、銘柄数の平方根に逆比例します。
どういうことかと言うと、例えば、4銘柄で組んだポートフォリオのボラティリティを半分にするためには、銘柄数を16銘柄まで増やせば良いのです。ところが、ボラティリティをさらに半分にするには、64銘柄まで増やす必要があります。これだけ銘柄数が増えると、サラリーマン投資家が管理するには手に負えません。
さらに悪いことに、数十〜数百と銘柄数を増やすにつれ、そのポートフォリオは市場平均に近づきます。つまり、市場の値動きに強く連動するようになるのです(保有銘柄の間で正の相関があると言っても良い)。その結果、「銘柄数の平方根に逆比例」の法則から外れ、ボラティリティーは思ったほど下がりません。
逆に、保有銘柄が少なくても、値動きが正反対の銘柄(負の相関があるとも言う)を組み合わせておくと、値動きが相殺されて、「銘柄数の平方根に逆比例」の法則よりも、ボラティリティーを下げることが出来ます。これが、景気循環ごとの銘柄をポートフォリオに組み入れることの意義であり、セクター(業種)分散させることの利点なのです。
こうした観点から、8〜16銘柄程度のポートフォリオが最も効率的です。パパのポートフォリオでは10銘柄を組み入れることにします。
I like nice round numbers.(私はくっきりちょうどの数字が好きなんだ)
映画「Other People's Money」より
どのセクターに投資するか
さて、そうすると分散投資のためには、どのセクター(業種)を選ぶと良いのでしょうか。
過去約50年のセクター利回りを調べたジェレミー・シーゲル氏によれば、利回りが特に高いセクターは、生活必需品、ヘルスケア、エネルギーです。それ以外のセクターはほぼ市場平均(S&P500)並みであり、ただ唯一、素材セクターは市場平均を大きく下回ります。
そこでパパは、生活必需品、ヘルスケア、エネルギーの3セクターに力を入れることとします。特に不況期でも強い生活必需品には高いウェイトを置きます。ここでは、生活必需品から4銘柄、ヘルスケアから2銘柄、エネルギーから2銘柄を選び、残り2銘柄をそれ以外のセクターから選ぶことにします。
特選10銘柄
こうして選択したパパのポートフォリオ10銘柄がこちらです。
いなぐらパパの特選10銘柄 | ||||||||||
銘柄 | PER | ROE | 営業CF | 配当 | 総合年率 リターン (10年) |
セクター | ||||
右肩 上り |
>純利益 | マージン | 配当率 | 連続増 配年数 |
増配率 (10年) |
|||||
KO | 27.7 | 26.3% | △ | ○ | 24.1% | 3.09% | 54年 | 9.0% | 11.0% | 生活必需品 |
CHD | 30.9 | 19.9% | ○ | ○ | 17.9% | 1.40% | 19年 | 27.3% | 19.4% | 生活必需品 |
GIS | 26.4 | 21.2% | ○ | △ | 14.4% | 2.65% | 11年 | 9.5% | 12.2% | 生活必需品 |
MO | 23.1 | 118% | ◎ | ✕ | 30.8% | 3.24% | 45年 | 11.6% | 13.5% | 生活必需品 |
JNJ | 20.1 | 21.9% | ◎ | ○ | 27.5% | 2.60% | 53年 | 9.7% | 9.3% | ヘルスケア |
NVO | 26.4 | 76.2% | ◎ | ○ | 35.5% | 1.76% | 15年 | 25.9% | 25.9% | ヘルスケア |
CVX | 145.8 | 3.0% | ✕ | ○ | 15.0% | 4.09% | 28年 | 9.0% | 9.4% | エネルギー |
PSX | 11.7 | 18.9% | △ | △ | 5.8% | 3.37% | 4年 | - | - | エネルギー |
IBM | 11.3 | 101% | ✕ | ○ | 20.8% | 3.63% | 21年 | 20.4% | 9.5% | 情報技術 |
MCD | 23.5 | 45.4% | ✕ | ○ | 25.7% | 2.93% | 40年 | 17.6% | 16.8% | 消費財・サービス |
各セクターでの個別銘柄選択についても説明したいところですが、それは次の機会に譲りましょう。(三部構成に収まりきらなかった、ごめんっ!)
ではまた、ごきげんよう。
2016/07/19