確定拠出年金を年率30%と宣伝するの、やめません?(2)


こんにちは。いなぐらパパです。

前回からの続きです。

減税というより徴税方式の変更に過ぎない

確定拠出年金(DCまたは日本版401k)は、その投資額分だけの給与所得税+住民税が、まるまる減税されるワケではありません。なぜなら、受け取るときには、退職所得あるいは年金所得として、しっかり課税されるからです。これは、リターンに対する課税ではありません。元本+リターン、つまり受け取る全額に対する課税です。

ですので、減税なのではなく、徴税方式の変更に過ぎないのです。ただ、多くの場合は、退職所得や年金所得として課税されたほうが、課税額が少なくなるので、その差額分だけが、減税であると言えます。場合によっては、税額ゼロにもなり得ます。

また、払うものは出来るだけ遅く、もらうものは出来るだけ早いほうが、そのお金を運用して増やすこともできます。実際、年末調整で帰ってきた減税分を、次の年の個人型DC投資の原資(の一部)にするのであれば、かなり有利と言えるでしょう。そういう意味で、給与所得から退職所得や年金所得への移行は、時間という観点からも、有利になります。

2度おいしい訳ではない

ただ、次のような表現には気をつけてください。

確定拠出年金は、積み立て時に税制優遇があり、「その上しかも」受け取り時にも、税制優遇があります。

出典 ー いろんなところ

そもそも、勤労所得への課税というのは、おおむね次の3種類です。

  1. 年間所得に対する課税
  2. 退職所得に対する課税
  3. 年金所得に対する課税

必ず、いずれか1つの形で課税されます。ですから、何らかの税制優遇があるというのは、その1つが減税または免除されるというものであり、2度おいしいということはあり得ません。先程のように、積み立て時と受け取り時の、2度おいしいというのは、間違いなのです。

繰り返しますが、確定拠出年金とは、上記の番号「1 → 2 または 3」という、徴税方式の変更であり、免税ではないことに、くれぐれも注意して下さい。

退職所得への課税がゼロになるかは微妙

勤続30年(DCの場合は積み立て年数)であれば、退職金1,500万円までは非課税(つまり1,500万円の所得控除)であることを、アテにする方も多いでしょう。ところが、もし退職金とDC積み立て金を同じ年に受け取ると、両方を合算したものを退職金として、課税計算されます。もし退職金が1,500万円以上あれば、DCの受け取り分に対しては、控除がありません。

ちなみに、1,500万円を超えた分は、その超えた額を半分にしたものを「所得」として、給与所得と同様の計算で累進課税されます。ですので、依然として給与所得課税より有利であることは、変わりません。しかし、いざ受け取ってみてから、「こんなはずじゃなかった」と後悔しないよう、しっかり事前に自分のケースではどうなるか、調べておく必要があります。

例えば、受け取るタイミングをずらすというのも手でしょう。ただ、5年以上ずらして受け取らないと、完全には分離計算されません。退職金をたくさん受け取る予定の方は、税理士さんに相談するなどして、最も有利な方法を検討する価値があると思います。

まとめ

確定拠出年金は、このように、その税制は割りと複雑でメンドウな代物です。自分にとって本当に有利だと確信できてから加入すれば良いと、いなぐらパパは思います。手数料もかかりますし、途中でやめることも出来ません。投資スタイルによっては、個人型DCがぜんぜん有利ではない人も多いはずですからね。

では今日はこれで失礼します。ごきげんよう!

   

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