英国企業ボーダフォンの怒り「出てくぞゴルァ!」


英国に籍を置くボーダフォンが、英国から別のEU加盟国に本社を移転するかもしれません。その可能性についてボーダフォンが6月28日、BBCほか報道各社にメール送信しました。ボーダフォネグジットです。

それによると、

  • 人・物・金のEU内の自由な移動が維持されることが重要
  • ただ、本社を長期的にどこに置くかを結論づけるのはまだ早い
  • それでも、適切な措置は何であれ実行する

と述べ、EU離脱の交渉内容次第では、英国から出ていくと警告しました。

ボーダフォンは英国を代表する大企業の1つです。「バンガード・FTSE100・UCITS・ETF」(ティッカー・シンボル:VUKE)のファクト・シートから、その保有銘柄トップ10を書き出してみました。

銘柄 本拠地 業種 VUKE ETF 内の比率
ロイヤル・ダッチ・シェル オランダ・ハーグ 石油 8.4%
HSBCホールディングス イギリス・ロンドン 銀行 5.3%
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ イギリス・ロンドン タバコ 4.8%
グラクソ・スミスクライン イギリス・ブレントフォード 製薬 4.3%
BP イギリス・ロンドン 石油 4.0%
ボーダフォン イギリス・ロンドン 通信 3.7%
アストラゼネカ イギリス・ロンドン 製薬 3.1%
ディアジオ イギリス・ロンドン 酒造 3.0%
ロイズTSB イギリス・ロンドン 銀行 2.7%
レキットベンキーザー イギリス・スラウ 日用品 2.6%

ロンドン市場に株式上場している会社のトップ10なので、本社がイギリスでない企業もあります。ですが、10社中9社がイギリスに、うち7社がロンドンに本社を置いています。このVUKE ETFは、FTSE100インデックスに追従するファンドです。FTSE100インデックスは、英国株式市場の実に83%をカバーしているのです。

つまり、ボーダフォンが英国を離脱すると、英国市場のうち ( 83% × 3.7% = 約3% ) を占める企業を、英国は失うことになります。ボーダフォンは利益の55%を欧州で上げていますが、英国ではわずか11%です。人・物・金の移動が自由にならないなら、ボーダフォンが英国を離脱するのは当然でしょう。そしてもちろん、ボーダフォンだけで済むと考える人もいないでしょう。

EUからの離脱に成功したと喜んでいた離脱派の皆さんは、今度は自分たちが離脱されようとしている危機に、今頃気づいて震撼としているのではないでしょうか。

      2016/07/01

 - 雑談