世界分散の株式ファンド比較 VT = VTI + VEA + VWO
こんにちは。いなぐらパパです。
投資信託やETFを使って、世界の株式に時価総額比で分散するポートフォリオを持っている方は多いと思います。今日はETFでの世界分散ポートフォリオ設計について、比較検討してみます。
まず、一本で世界分散できる有名なETFは、バンガード社によるVTと、ブラックロック社によるiシェアーズMSCI ACWIでしょう。そこでまず、VTとACWIを比較してみます。
VT | iShares MSCI ACWI | |
ベンチマーク指数 | FTSE Global All Cap Index | MSCI ACWI |
設定日 | 2008年6月24日 | 2008年3月26日 |
純資産総額 (2016.4.30) | 5,481 百万米ドル | 5,459 百万米ドル |
銘柄数 | 7,538 (2016.3.31時点) | 1,307 (2016.6.28時点) |
経費率 | 0.14% | 0.34% |
平均年率リターン (2011.6.1〜2016.6.1) | 3.32% | 3.51% |
配当率 (2016.6.3時点) | 2.24% | 2.50% |
トータルリターン | 5.42% | 5.67% |
iShares MSCI ACWIのほうがトータルリターンが若干良い数字ですが、日々の変動もありますので、両者はほぼ同等と思って良いでしょう。設定日も純資産総額もほぼ同じです。
ただ、経費率はVTのほうが圧倒的に安いです。バンガードのETFは、かつてはMSCIの指数を多く採用していましたが、よりコストの低いFTSEの指数に移行してきました。
ここでは、日本でも人気のVTをさらに分解してみます。VTを、地域別の複数のETFで組み合わせると、経費率がさらに安くなり、トータルリターンが向上するのです。VT = VTI + VXUS という分解の仕方と、VT = VTI + VEA + VWO という分解の仕方があります。
VTIはアメリカの大・中・小の株式に分散するETFです。アメリカのETFと言えばS&P500連動のSPYが有名です。SPYは主要500銘柄に分散するのに対し、VTIはより広く小型株まで含めて分散するので、可能な限りの分散投資を方針とする方には向いています。
VEAはアメリカを除く先進国への分散です。日本や欧州、オーストラリアなどが含まれます。以前はカナダが含まれていませんでした。VTIと補完的な役割を果たせるように、とのことでしょうか、2016年6月1日からカナダがVEAに含まれます。また合わせて、小型株がこの時から含まれるようになりました。
VWOは発展途上国の株式に投資するETFです。こちらも2015年11月から小型株を入れ始め、約1年かけて移行を完了します。
VXUSはアメリカを除く、先進国および途上国の株式に分散投資します。VEAとVWOを合わせたような感じです。VXUS = VEA + VWO。
VT, VTI, VXUS, VEA, VWOの5本を比較してみましょう。
株価 (2016.4.30) | 銘柄数 (2016.3.31) | 経費率 | 純資産総額 (2016.4.30) | |
VT | $58.27 | 7,538 | 0.14% | 5,481 百万米ドル |
VTI | $105.51 | 3,682 | 0.05% | 59,000 百万米ドル |
VXUS | $45.89 | 6,088 | 0.13% | 5,696 百万米ドル |
VEA | $36.71 | 3,773 | 0.09% | 31,385 百万米ドル |
VWO | $34.93 | 3,944 | 0.15% | 34,874 百万米ドル |
この表を見て気づくのは、VT, VXUS は他の VTI, VEA, VWO に比べて、純資産総額が一桁低いことです。純資産総額は、そのETFの流動性の良さに直結します。日々の株価変動の中で、希望の価格で購入するには、この流動性の良さが効いてきます。また、指数への連動性の良さにも関係してきます。この点からすると、VTI + VEA + VWO の組み合わせが最も魅力的です。
今度は、トータルリターンの観点から、3種の世界分散ポートフォリオを比較してみます。
銘柄数 | 経費率 | 5年平均年率リターン (〜2016.6.1) | 配当率 | トータルリターン | |
VT | 7,538 | 0.14% | 3.32% | 2.24% | 5.42% |
VTI (51.30%) + VXUS (48.70%) |
9,770 | 0.09% | 3.77% | 2.33% | 6.01% |
VTI (51.30%) + VEA (37.46%) + VWO (11.24%) |
11,399 | 0.08% | 4.07% | 2.40% | 6.39% |
このように、3つのETF (VTI + VEA + VWO) で構成するポートフォリオは、VTより1%近くも高いトータルリターンを得ることができます。この差が購入・売却手数料を上回る見込みであれば、多少の手間をかけても、3本に分けてみる価値があるのではないでしょうか。
追記)VTとACWIの比較について、保有銘柄数の違いを表に加えました。たわら男さん、ご指摘ありがとうございます。ついでに銘柄数は最新情報にアップデートしました。(2016.6.30)
2023/05/29