年金の株式比率アップで運用損?構わん、どんどんやれ!(後編)


前編からの続きです。

GPIF運用の効率化は必須だ!

現在の40代およびそれ以下の世代は「逃げきれない世代」と言われます。今のままの年金運用では、予備費にあたるGPIF資金が涸渇し、給付が大幅に削減されるのです。

方策は3つしかありません。1つは収入アップ、つまり掛け金の大幅増加です。ただでさえ現役世代の生活は苦しいのに、掛け金が増えれば大混乱ですが、そうせざるを得なくなります。本来は少子化を食い止めることが大事なのですが、仮に明日それが実現できたとしても、明日生まれた赤ちゃんが掛け金を払い始めるのは20年後です。最速で20年後からしか改善できないんです。

2つ目は支出の削減です。つまり、年金支給額の大幅削減です。今すぐ削減し始めれば、GPIFの収支が適切にバランスし、年金の寿命は延びるでしょう。ですが、すでに老後の貧困が社会問題化している中、とりわけ投票率の高い高齢有権者の理解を得るのは難しく、実現できるとは思えません。GPIFが涸渇して、年金支給額の削減以外に手段がなくなって初めて、実行されるような気がします。あな恐ろしや。

3つ目がGPIF資金の効果的な運用です。株式投資の長期リターンは、歴史的に必ず債券リターンを上回っていると分かっているのですから、株式比率を50%にまで増加させたのは当然です。直近の上下変動は大きくなりますが、それは問題ではありません。掛け金の増加も、支給額の削減も困難である中、たとえ効果が限定的とはいえ、GPIFの運用リターンを最大化することは必須なのです。(効果が限定的というのは、GPIFの運用額が年金支給年額の3年分ほどしかないので、運用益だけで全面解決するものでもないからです。)

逃げきれる世代に言われなくない

GPIFの株式運用に反対する方は、GPIFを低リターンに抑えたまま、どう問題を解決するつもりなのでしょうか。年金支給額を減らせばいいという意見もあります。それは先ほど言ったように難しい課題ですが、もし実現したとすると、国民は自分で老後の備えをしなくてはなりません。

そして、そのためにこそ確定拠出年金が登場したのです。つまり、GPIFが株式運用をしないなら、国民が各自で株式運用(投信を含む)をするしかないのです。それが出来ない人を国は見捨てる、と言ってるも同然です。プロのファンドマネージャーが年金を運用するよりも、素人の全国民が勝手にやれ、と言ってるに等しい。

ましてや、GPIFの株式運用反対派の皆さんは、土地バブル崩壊で痛い目にあった50代以上、つまり逃げきれる世代の方が多いのではないでしょうか。年金受給開始を間近に控えれば、それはさぞ低リスク運用してほしい気持ちは分かります。それは、逃げきれる世代だからこそ言える、高見からの意見なのではないでしょうか。

我われ逃げきれない世代は必死なのです。短期的なリスクを見るよりも、長期的なリターンをしっかり確保してほしい。そのためには株式運用の導入しかない。それが、逃げきれない世代の願いだと思うのですが。そう思うのは、いなぐらパパだけでしょうか?

GPIFは売却フェーズに入っている

GPIFは資金を増加していく「購入フェーズ」が終焉し、現在は「売却フェーズ」に入っています。売却フェーズでは、株式セクターに運用損があった場合にも、それを売却しなくてはならないので、損失確定されて資産が大幅に減少するという批判があります。例えば、日本株式の比率は25%と定めていますから、例え損失があろうとも、全体の25%にあたる日本株からも、売却せざるを得ないと言うのです。

これもおかしな話です。株価が下がったのなら、日本株の比率は低下しています。低下すればするほど、リバランスのために、債券から日本株に移さなくてはなりません。売却フェーズにある場合、債券からのみ売却し、日本株は売却しないのです。そのためにこそ、株式と債券を適切に組み合わせて、リスクを分散しているのですから。

まとめ

いなぐらパパは現在のGPIFポートフォリオにおおむね満足しています。今月末には投資銘柄も公開されるようですから、楽しみです。米国個別株がメインのパパのポートフォリオとはだいぶ違いますが、年金という巨大資金の運用としては、今のGPIFポートフォリオが現実的だと思います。

とはいえ、GPIF運用の効率化だけでは、逃げきれないのも事実。パパももっと勉強し、自らの資産運用に磨きをかけたいと思います。ではまた!

      2016/07/12

 - お金の話